国産シルクはなぜ希少?:日本の養蚕の現状と、絹素材の商品を上手くファッションに取り入れる方法

国産シルクはなぜ希少?:日本の養蚕の現状と、絹素材の商品を上手くファッションに取り入れる方法

「シルクの服って素敵だけど、お手入れが難しそう…」「シルクのアイテムをどうやってファッションに取り入れたら良いのかわからない…」そう感じて、手に取ることを躊躇した経験はありませんか?

 

シルク100%のアイテムは上質な光沢とろけるような肌触、そして肌に優しい天然素材として昔から重宝され、今でも根強い人気があります。


 

富岡製糸場で感じた“日本の誇り”と私の原点のブログでもお伝えしましたが、特に日本では、明治時代にシルク産業が日本の経済を支える重要な柱として発展し、輸出産業の中心として国を豊かにしてきた歴史があります。

 

しかし“日本製”や“国産シルク”のファッションアイテムを探しても、その数は驚くほど少なく、ほとんどが中国やインドなど輸入の繭を使い国内で製品化したものを日本製と呼び販売されています。

 

 だからこそ今、国産シルクの現状と可能性を伝えたいと思いました。

 

まずはシルクそのものが人に与える効果・素材としての魅力を知り、「なぜ市場に少ないのか」という背景についてお話ししていきます。


 

この記事でわかること

  • シルクという素材がなぜ特別なのか
  • 国産シルクの現状と衰退の理由
  • 国産シルクファッションの唯一の挑戦
  • シルクアイテムの選び方とお手入れ方法
  • ギフト・プレゼントにおすすめのアイテム
  • 環境・地域に与えるポジティブな影響

 

知っておきたいシルクの基礎知識

シルクの特徴と種類をわかりやすく解説

シルク(絹)とは、蚕(かいこ)の繭から作られる天然の動物繊維

 

主成分は人の肌の成分に近いタンパク質で、フィブロインとセリシンという2種類のアミノ酸から構成されています。これらの成分が、シルクならではの優雅な光沢としなやかな肌触りを生み出します。

 

主な特徴
・美しい光沢/滑らかな肌触り
・優れた吸湿・放湿性(コットン比約1.5倍)
・高い保温性(繊維間の空気層)


シルクのメリット・デメリット

【メリット】

  • 肌にやさしい(低刺激・静電気が起きにくい)
  • 年間快適(夏涼しく冬暖かい)
  • 上品な見た目(光沢とドレープ)

【デメリット】

  • 価格が高い(希少・手間)
  • デリケート(水・摩擦・紫外線に弱い)
  • お手入れ注意(基本ドライ。ウォッシャブルは表示確認)

※適切に扱えば長く楽しめます。

 

 


国産シルクの現状:輸入品との違い

現在、世界のシルク生産の多くは中国・インド・ブラジルなどで、日本での生産は1%にも満たない非常に希少なものです。[出典:農林水産省] 

 

では、なぜ国産シルクは高く評価されるのでしょうか。その秘密は、日本の養蚕から製織に至るまでの丁寧な工程にあります。

 

  • 品質管理の徹底(桑の葉・飼育環境)
  • 高度な製糸技術(太さの均一性・節の少なさ)
  • トレーサビリティ(産地・生産者が見える)

海外産シルクが安価で手に入りやすい一方、国産シルクは希少性と、品質の高さが強みです。



 

国産シルクはなぜここまで衰退してしまったのか?

その理由は、歴史的・構造的な背景にあります。

  • 戦後〜高度経済成長期:化学繊維の台頭で日常着が合成繊維中心に。
  • 産地の縮小:収益性低下養蚕・製糸の撤退が続出。
  • 洋装化と価値観の変化:「シルク=特別/和装」の印象が強まり日常から後退。
  • 企画・開発の断絶:海外素材が当たり前になり、“国産シルクで服を作る”の発想が希薄化

 

こうして長い時間をかけて、国産シルクは産業としても、ファッションの現場からも姿を消していきました。1930年代には200万戸以上あった養蚕農家は、2022年にはわずか152戸、2024年には134戸まで減少しています。

 

わずか2年で12%も減ったこの数字は、日本の養蚕産業がいま風前の灯であることを物語っています。



日本企業の新たな挑戦

国産シルクのファッションアイテムがほぼ存在しない中、クラウドファンディングで発見した中川絹糸×寺田ニット×島精機製作所の取り組みに注目しています。国内で桑を育て、蚕を飼育し、糸を紡ぎ、縫製まで行う中川絹糸の糸を使用し、島精機製作所の横編み機を用い、寺田ニットが国産シルクの商品開発をされています。

 

これは、現代の日本のファッション業界では極めて珍しい、国産シルクを用いた本格的な開発プロジェクトです。 SHIMMER & MUSEでも、今後これらの企業が手がける国産シルク製品をお迎えしていく予定で準備を進めておりますので楽しみにしていてください。

 

また島精機製作所の運営するBLUEKNITは、製造から販売後のリサイクルまでを国内で完結させることで、真の“メイド・イン・ジャパン”を追求しアフターサービスにも力を入れています。 地球環境への配慮、リユース・リサイクルの仕組みなど、サーキュラーエコノミー(循環型経済)を実現している素晴らしい企業です。BLUEKNITとは

 

これらの取り組みは、”作り手の顔が見える安心をお客様に届ける”ための仕組みづくりでもあり、日本のものづくりの精神と、これからの時代に求められるサステナブルな価値観の両立を体現。国産シルクの可能性を広げるだけでなく、「未来のファッションの在り方」を示している、その姿勢に深く感動ました。

 


 

国産シルクの背景にある物語

国産シルクの魅力は、その品質の高さだけではありません。一枚の布が生まれるまでの背景には、職人の情熱や産地の歴史、そして未来への想いが込められています。

 

ここでは、日本のシルク産業を支える老舗ブランドや産地の取り組みをご紹介します。

その物語を知ることで、お手元の一着がさらに特別なものに感じられるはずです。


伝統と革新:老舗ブランドのこだわり

日本には、古くからの伝統技術を守りながら、現代のライフスタイルに合わせた新しいシルク製品を生み出している老舗ブランドが数多く存在します。

例えば、創業100年を超えるような絹織物メーカーでは、代々受け継がれてきた手機(てばた)や古い織機を大切に使い続け、他では真似のできない独特の風合いを持つ生地を織り上げています。

一方で、現代のファッションデザイナーと協力し、伝統的な柄をモダンにアレンジしたスカーフや、家庭で洗えるシルク製品の開発など、革新的な取り組みにも挑戦しています。

こうしたブランドの製品を選ぶことは、日本の優れた職人技術を未来へと継承していく応援にも繋がります。

 

 

地域活性化:国産シルクを支える産地の取り組み

先にも述べたように、現在養蚕業は担い手の減少という大きな課題に直面しています。しかし各地のシルク産地では、その伝統を絶やすまいと様々な取り組みが行われています。

群馬県、長野県、山形県などの伝統的な産地では、自治体や企業が協力し、養蚕農家の支援や後継者の育成、そして地域ブランドとしてのシルク製品の開発に力を入れています。

例えば、地域の小学校で蚕の飼育体験を行ったり、シルクの歴史を学べるミュージアムを運営したりすることで、シルク文化の魅力を次世代に伝えています。

私たちが産地の製品を選ぶことは、こうした地域全体の活性化を支える一助となるのです。


サステナブル:環境に配慮したブランドの選び方

近年、ファッション業界ではサステナビリティ(持続可能性)が重要なキーワードになっていますが、絹は天然素材であり、生分解性があるため、本来は環境に優しい素材です。またBLUEKNITのように、生産工程において環境負荷を低減しようと努力しているブランドも増えています。

  • オーガニックシルク:蚕が食べる桑の葉を無農薬で栽培し、化学薬品を使わずに生産されたシルクです。環境だけでなく、生産者の健康や肌への優しさにも配慮されています。
  • トレーサビリティの確保:生産背景を透明化し、消費者にどこでどのように作られた物かを明確に伝えているブランドも信頼できます。
  • 廃棄物削減の取り組み:生産過程で出る糸くずを再利用したり、受注生産によって余剰在庫を減らしたりする努力も、サステナブルな視点から重要です。

 

このようなブランドの背景にある物語や理念を知ることは、単なる「モノ」選びではなく、自分の価値観に合った物選びをし、より長く大切に扱うという豊かな消費体験に繋がります。

そしてこういった企業や団体の動きがもっと広がれば国産100%のシルクアイテムが日常に根付く日も遠くないかもしれません。


 

Q&A:シルク製品に関するよくある質問

Q1. シルクはなぜ高い?価格に見合う価値とは?

A. シルクは、自然と職人の手仕事が生み出す極めて希少な素材だから高価なのです。桑を育て、蚕が作る繭から糸を取り出し、織り、染め、縫い上げまで、すべてに時間と技術が必要です。

また、肌にやさしく、一年を通して快適に過ごせる機能性を持つため、丁寧に扱えば何年も愛用できます“高い”のではなく、“長く価値を感じられる素材”それがシルクです。


Q.2 敏感肌でも大丈夫?おすすめのシルクアイテムは?

A. はい、シルクは敏感肌の方にこそおすすめしたい素材です。シルクの主成分は人の肌と同じタンパク質で、約20種類のアミノ酸から構成されています。そのため、肌への刺激が非常に少なく、アレルギー反応も起こしにくいとされています。

近年では、その美容効果にも注目が集まっています。

また、繊維が細く滑らかなため、肌との摩擦が少ないのも特徴です。 敏感肌の方に特におすすめなのは、直接肌に触れるインナーやパジャマ、靴下など。シルクの優れた吸湿性・放湿性が肌を清潔で快適に保ち、就寝中や日中の不快感を和らげてくれます

まずはこうしたアイテムから、シルクの肌触りの良さを実感してみてはいかがでしょうか。


Q3. シルク製品は夏でも涼しい?

A. はい、シルクは夏にこそ活躍する素材です。その理由は、優れた吸湿性と放湿性にあります。シルクはコットンの約1.5倍もの水分を吸収し、それを素早く外に放出する力を持っています。そのため、汗をかいても生地が肌に張り付かず、サラッとした快適な着心地が続きます。

また、シルクには紫外線を吸収する性質もあるため、UVカット効果も期待できます。夏の強い日差しから肌を守るカーディガンやストールなどもおすすめです。薄手で軽やかなシルク製品は、見た目にも涼しげで、夏のファッションを上品に彩ってくれます。

『冬は暖かく、夏は涼しい』というシルクの特性を活かせば、一年を通して快適に過ごすことができます。


Q4. シルク製品はギフトやプレゼントにも向いている?

A. はい、上質な光沢と肌触りを持つシルクは特別感があり、ご自身へのご褒美にはもちろん、大切な方へのギフトやプレゼントにも喜ばれます。

スカーフ、枕カバー、アイマスク、レッグウォーマー、靴下などはサイズを選ばず贈れる人気アイテム。送る相手のライフスタイルに寄り添う、心のこもった高級ギフトとしておすすめです。


 

 

シーン別シルクアイテムの選び方

シルクの魅力は、その汎用性の高さにもあります。特別な日だけでなく、日常の様々なシーンでその上質さを楽しむことができます。

 

ここでは、デイリーユース、オフィス、パーティーという3つのシーン別に、おすすめのアイテムと着こなしのポイントをご紹介します。あなたのライフスタイルに合わせたシルクの取り入れ方を見つけてみましょう。


デイリーユース:普段使いにおすすめのアイテム

「シルクは普段着にはもったいない」と感じるかもしれませんが、実は日常にこそ取り入れてほしい素材です。

肌触りが良く、機能性にも優れているため、リラックスしたい日にもぴったり。気負わずに始められるアイテムから挑戦してみましょう。

 

  • シルク混カットソー:コットンなどにシルクをブレンドした素材なら、シルクの滑らかさを感じつつ、普段通りに扱いやすいのが魅力です。カジュアルなデニムスタイルも、シルク混のトップスを合わせるだけでぐっと上品な印象に。
  • 洗えるシルクのブラウス:先にも述べた通り、最近では自宅で手洗いできる「ウォッシャブルシルク」の製品も増えています。お手入れのハードルが下がるため、普段のコーディネートに気軽に取り入れられます。
  • 小物で取り入れる:まずはスカーフやストール、靴下といった小物から始めるのもおすすめです。首元や足元にシルクの光沢と肌触りをプラスするだけで、いつものファッションがワンランクアップします。

 

オフィススタイル:上品さを演出するシルクの取り入れ方

ビジネスシーンにおいて、服装は信頼感や知性を表現する重要な要素です。シルクの上品な光沢と美しいドレープは、オフィススタイルに洗練された雰囲気を与えてくれます。

派手になりすぎず、さりげなく上質感をアピールするのがポイントです。

 

  • シルクブラウス:ジャケットのインナーに最適なのが、シンプルなシルクブラウスです。顔周りを明るく見せ、柔らかな印象を与えます。ネイビー、ベージュ、オフホワイトなどのベーシックカラーを選ぶと、着回し力も抜群です。
  • シルクワンピース:重要な会議やプレゼンテーションの日には、シルクのワンピースがおすすめです。一枚でコーディネートが完成し、自信を持って振る舞えるでしょう。体のラインを拾いすぎない、程よくゆとりのあるデザインが上品です。
  • シルク混のスーツ:ウールにシルクを混紡したスーツは、美しい光沢としなやかさを持ち合わせています。動きやすさも兼ね備えているため、長時間のデスクワークでも快適に過ごせます。



パーティーシーン:華やかさを添えるシルクの着こなし

結婚式やパーティーなど、華やかな場においてシルクは主役級の存在感を放ちます。光を受けて輝くシルク素材は、お祝いの席にふさわしい高級感と特別感を演出してくれます。

デザインや色選びで、自分らしい着こなしを楽しみましょう。

 

  • シルクサテンのドレス:光沢が最も美しいシルクサテンは、パーティーシーンに最適です。シンプルなデザインでも素材の良さが際立ち、アクセサリー次第で様々な表情を見せてくれます。
  • 光沢のあるスカートやパンツ:トップスはシンプルに、ボトムスに光沢のあるシルク素材を持ってくるのも素敵です。動くたびに揺れるシルクのスカートは、優雅で女性らしい印象を与えます。
  • ボウタイブラウス:胸元にデザインのあるボウタイブラウスは、顔周りを華やかに見せてくれます。パンツスーツと合わせれば、甘すぎないスタイリッシュなパーティースタイルの完成です。

 

シーンに合わせてアイテムを選ぶことで、ファッションでシルクの魅力を最大限に引き出すことができます。


 

初心者必見!シルクアイテム選びの3つのポイント

初めてシルクのアイテムを選ぶとき、何を基準にすれば良いか迷ってしまうかもしれません。高価な買い物だからこそ、失敗なく、長く愛用できる一着を選びたいもの。

ここでは、初心者が押さえておくべき「素材と織り方」「サイズ感」「デザイン」という3つの重要なポイントを解説します。これを読めば、自信を持って自分にぴったりのシルクアイテムを選べるようになります。



素材と織り方:目的別に最適なシルクを選ぶ

一口にシルクと言っても、その表情は織り方によって大きく異なります。どのようなシーンで着たいか、どんな印象に見せたいかを考えながら、最適な生地を選ぶことが大切です。

 

  • サテン(朱子織):経糸(たていと)または緯糸(よこいと)を長く表面に浮かせた織り方。光沢が強く、滑らかな手触りが特徴です。ドレスやブラウスなど、華やかさを出したいアイテムに向いています。
  • クレープデシン(縮緬):細かなシボ(凹凸)があり、しなやかでドレープ性が美しい生地です。シワになりにくく、上品な光沢感が特徴で、ワンピースやブラウスに最適です。
  • 羽二重(はぶたえ):平織りで織られた、軽くて滑らかな生地。日本の代表的な絹織物で、きものや裏地、ブラウスなどに使われます。上品で控えめな光沢が魅力です。
  • シフォン薄手で透け感のある軽やかな生地。ふんわりとした柔らかい印象を与えるため、ブラウスの袖やスカーフなどに使われます。
  • これらの特徴を理解し、例えば「パーティー用ならサテン」「オフィス用ならクレープデシン」というように、目的に合わせて選ぶのが失敗しないコツです。


 

サイズ感:着心地を左右するジャストサイズとは?

シルクの着心地の良さを最大限に引き出すには、サイズ選びが非常に重要です。特にシルクは、その美しいドレープ性を活かすためにも、体にぴったりしすぎるものより、少しゆとりのあるサイズ感を選ぶのがおすすめです。

 

購入時にチェックすべきポイントは以下の通りです。

  • 肩や腕周りの動きやすさ:試着の際は、腕を上げたり回したりして、窮屈さがないか確認しましょう。
  • ドレープの出方:鏡の前で少し動いてみて、生地が体に沿って美しく流れるかチェックします。
  • 洗濯による縮みを考慮:製品によっては洗濯でわずかに縮む可能性があります。特にウォッシャブルシルクを選ぶ際は、洗濯表示を確認し、少し余裕のあるサイズを選ぶと安心です。

 

自分の体のサイズを正確に把握し、アイテムのデザインと合わせて最適なサイズを選ぶことが、着心地の良さと美しいシルエットに繋がります。


 

デザイン:長く愛用できるシンプル&ベーシック

 

シルクは高価なものだからこそ、一時の流行に左右されず、長く愛用できるデザインを選びたいものです。初心者の方は特に、シンプルでベーシックなデザインから始めることをおすすめします。

 

  • 定番アイテムを選ぶ:クルーネックのブラウス、シンプルなシャツワンピース、無地のスカーフなど、着回し力の高い定番アイテムは、様々なコーディネートに合わせやすく、飽きずに長く使えます。
  • ベーシックカラーを選ぶ:ホワイト、ブラック、ネイビー、ベージュといったベーシックカラーは、どんな色とも相性が良く、オフィスからプライベートまで幅広く活躍します。まずはこれらの色から揃え、慣れてきたら差し色になるようなカラーアイテムに挑戦するのも良いでしょう。

 

上質な素材は、シンプルなデザインであるほどその良さが際立ちます。まずは基本の一着を大切に着ることから、シルクをファッションに取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

 

永く愛用するために:シルクのお手入れ方法

上質なシルク製品は、基準に基づいた適切なお手入れをすれば何年も美しさを保ち、長く愛用することができます。デリケートな素材だからこそ、正しいお手入れ方法を知ることが大切です。

 

ここでは、洗濯から保管、そして万が一のシミ抜きまで、シルクを永く楽しむための具体的な方法をご紹介します。

 

洗濯:自宅でできる?プロに任せる?最適な方法

シルク製品の洗濯で最も重要なのは、まず洗濯表示を確認することです。「水洗い不可」の表示があるものは、迷わず信頼できるクリーニング店にお願いしましょう。

自己判断で洗ってしまうと、縮みや風合いの変化、色落ちの原因となり、元に戻せなくなる可能性があります。

 

「手洗い可」の表示がある場合は、以下の手順で慎重に洗いましょう。

  1. 洗剤の準備:おしゃれ着用の中性洗剤を、30℃以下のぬるま湯によく溶かします。アルカリ性の洗剤や漂白剤は生地を傷めるため絶対に使用しないでください。
  2. 優しく押し洗い:衣類を裏返しにして畳み、洗剤液の中で2〜3分優しく押し洗いします。もみ洗いやこすり洗いは生地の毛羽立ちや傷みの原因になるので避けましょう。
  3. すすぎ:きれいなぬるま湯を2〜3回替え、洗剤が残らないように優しく押しすすぎます。柔軟剤を使用すると、静電気防止や風合いの維持に効果的です。
  4. 脱水と乾燥:軽く押して水分を切った後、乾いたバスタオルに挟んで優しく水気を取ります。その後、形を整えて必ず風通しの良い日陰で平干しまたはハンガー干しをしてください。直射日光は黄ばみの原因になります。

[内部リンク推奨:素材別・正しい洗濯方法の完全ガイドの記事へ]

 

 

保管 : 日焼け・虫食いを防ぐための注意点

シルクは紫外線と湿気、そして虫に弱いデリケートな素材です。シーズンオフなどで長期間保管する際は、以下の点に注意してください。

 

  • 光を避ける:紫外線はシルクを変色させる最大の敵です。必ず光の当たらないクローゼットやタンスの中に保管しましょう。不織布のカバーなどをかけるのも効果的です。
  • 湿気を防ぐ:湿気はカビやシミの原因になります。保管場所は風通しを良くし、除湿剤を置くなどの対策をしましょう。ビニール袋での保管は通気性が悪いため避けてください。
  • 虫食い対策:シルクはタンパク質繊維のため、虫食いの被害に遭いやすいです。保管前には必ず洗濯やクリーニングで汚れを落とし、防虫剤を使用しましょう。防虫剤が直接衣類に触れないように、隅に置くのがポイントです。
  • ハンガーの選び方:長期間ハンガーにかけておくと、型崩れや生地への負担になることがあります。滑りにくく、厚みのあるハンガーを選ぶか、畳んで保管するのがおすすめです。

 

 

シミ抜き:万が一の時の応急処置と専門家への相談

食事中などにうっかりシミをつけてしまった場合、素早い応急処置が重要です。しかし、間違った処置はシミを広げたり、生地を傷めたりする原因にもなります。

 

【応急処置の手順】

1. すぐに吸い取る:乾いたティッシュやハンカチで、シミの部分をこすらずに優しく押さえて、水分や油分を吸い取ります。

 2. 水で叩く(水性のシミの場合):水で濡らして固く絞った布で、シミの裏側から軽くトントンと叩き、汚れを布に移し取ります。この時、表側には乾いた布を当てておきましょう。

 3. 専門家へ相談:応急処置で取れないシミや、油性のシミ(ファンデーション、口紅など)は、無理に自分で落とそうとせず、できるだけ早くクリーニング店に相談してください。シミの種類と原因を伝えることが、きれいに落とすための重要な情報になります。

 

日頃の丁寧な扱いやお手入れが、大切な国産シルク製品を末永く楽しむための鍵となります。

 


まとめ

この記事では、国産シルクとファッションへの取り入れ方について、基礎知識から選び方、お手入れ方法まで幅広く解説してきました。最後に、本記事の重要なポイントを振り返りましょう。

  • シルクの基礎知識:シルクは蚕の繭から作られるタンパク質繊維で、肌に優しく機能性に富む一方、デリケートで高価という側面も持ち合わせています。
  • 日本のシルク産業の歴史:明治期には国の主要産業として発展したが、戦後の化学繊維の普及で養蚕農家は激減。現在は全国で約134戸のみ。
  • 国産シルクが少ない理由:高コスト化・後継者不足・洋装化による需要減少で、ファッションとしての展開がほぼ途絶えている。
  • 希少な挑戦:中川絹糸が国内一貫生産を行い、寺田ニットがその糸でトップス開発に挑戦。メイドインジャパンと循環型経済を両立。
  • 環境と地域への効果:無農薬の桑栽培で土壌を再生し、耕作放棄地の活用・地域雇用・技術継承を促す。小さな循環が国全体を元気にする。
  • 私たちにできること:まずはシルクの心地よさを知り、日常に取り入れることから。小さな選択が国産シルクの未来を支える力になる。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

このブログで、少しでもシルクの魅力や国産シルクの現状について心に残る何かがあればぜひコメント欄で教えてください。応援メッセージも大歓迎です!

 

Have a good day 🕊️✨


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