富岡製糸場で感じた“日本の誇り”と、私の原点 ─無くしてはならないもの─
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今回は、世界遺産にも登録されている、日本の近代化の象徴とも言える場所、富岡製糸場を訪れた時のお話と、
私自身のルーツについてのお話です。
富岡製糸場で感じた“日本の誇り”

富岡製糸場とは、明治のはじめ、フランスの技術と日本の知恵を融合させて建てられ、
ここから日本の絹産業は世界レベルへと上り詰め、国力を大きく高めていきました。
現地に足を運び、当時のまま残る建物や機械を前にすると、「当時の日本って、こんなにも進んでいたのか!」と驚くと同時に、
当時の政府は“本気で”日本を良くしようと動き、そして国民も一丸となりそれに応えたことが伺え、感動を覚えました。
なかでも、機械に向かって黙々と働く女性たちの写真。
その佇まいは“工場作業員”という言葉のイメージを覆すほど、美しく凛としたものでした。当時としては非常に恵まれていたという工女たちの待遇。
国が栄え、そして国民も共に豊かになっていった軌跡を思うと、胸が熱くなるような感覚に包まれました。

私の原点──“シルクは日常にあるもの”だった
実は私の実家も、かつては機織り工場を営んでいました。
母は日中パートに出かけており、祖母が実家の機織り工場で仕事をし、織機が作動する騒音の中ですやすやと眠る子供でした。
機械油の匂い、繭を煮て糸を引く父の手元、反物に指を滑らせながら検品する呉服問屋とそろばんを弾く祖母の後ろ姿。
今思い返せば、そのすべてが「丁寧に、誠実に、美しく」という日本のものづくりの精神そのものでした。
あの頃は当たり前すぎて気にも留めていなかった風景が、今になってかけがえのないものに思えます。
そして私が「シルクを大切に扱いたい」と感じている根っこには、きっとこの原体験があるのだと改めて気付かされました。
皇室と養蚕──神話から現代まで続く“祈りと循環”の営み
日本神話では、天照大神から授かった稲を、代々の天皇が大切に守り継ぎ、現在でも、陛下が自ら田植えや稲刈りを行う姿は、ニュースなどで目にすることがあります。
一方で、皇后陛下は『天からの贈り物』とされる“天の虫(蚕)”を育て、その繭から取れた糸で神事に用いる布を織られています。

これは決して形式的な儀式ではなく、「自然(神)と共に生きる」という日本人の根本精神を体現し続ける営みです。
稲と絹── 命を育む稲と、身を包み守る絹。
この二つを“日本の根っこ”として、皇室が今もなお守り続けているという事実に、私は深い感動と敬意を覚えています。
現代人は自然を纏うことを忘れてしまった。神からのこの二つの贈り物が、いかに我々を救ってきたのか?
同時に、自然が与えてくれる恩恵も忘れてしまった。あることがあまりに当たり前すぎて。
有ることが難しいと書いて『有難いーありがたいー』
無くなってからでは遅い。大切なものが何か?守るべきものは何かを、改めて真剣に考える時だと思います。
「天皇制なんてなくせばいい」という一言に、衝撃を受けた日
ある日、知人との何気ない会話の中で、こんな言葉を耳にしました。
「天皇制なんてもうなくせばいいのに。」
その一言に、私は言葉を失いました。批判したいわけではありません。そういう考えの人もいるのか、と今では思います。
ただ、私にとって皇室は単なる“制度”ではなく、「日本を日本たらしめている、唯一無二の存在」。
もし日本から天皇がいなくなったら、それはもはや“日本”ではないとさえ思っています。

たとえ制度そのものが存続しても、もし「女系天皇」へと移行することになれば、2685年続いた皇統は途絶えることになり、日本という国の“歴史の継続”が終わり、新しい『別の国』が始まる事を意味する。
だからこそ、世界各国の首脳や、イギリス王室でさえ、日本の天皇に対しては最高級の敬意を払っているのです。
その歴史を、時代に合わないからと安易に変えてしまう事は、あってはならない事だと思います。
「大切なものが消えていく」ことへの、さざ波のような危機感
富岡製糸場も、皇室の営みも──
何もしなければ、時代の流れの中で、静かにその姿を消してしまうかもしれません。
私の実家の織物工場も、祖母の代でその歴史に幕を下ろしました。
同じように、多くの養蚕農家や機織り工場が、時代の波に抗えず、その灯を絶たれていきました。

「残したい」という意思と、それを形にする行動がなければ、どれほど美しい文化であっても、やがて人々の記憶から失われてしまう──
想いだけではどうにもならなかった、そんな時代でもありました。
けれど今は、インターネットやSNSを通じて、誰もが世界とつながり、想いを届けることができる時代になりました。
発信も、販売も、国境を超えて可能になった今だからこそ──
私は、SHIMMER & MUSEというブランドを通して、「語り継ぐことの大切さ」と「日本の文化を新しい形で未来に残すこと」を発信し、日本人の中に眠る美しい精神性に再び火を灯したいと思っています。
小さなブランドだからこそできることが、きっとある。その信念を胸に、SHIMMER & MUSEはこれからも歩み続けます🇯🇵
Shimmer up, beautiful !!