着物に学ぶサステナブル ─ 土から出来て土に還る ─

着物に学ぶサステナブル ─ 土から出来て土に還る ─

10年ほど前から「サステナブル」や「SDGs」という言葉が広く使われるようになりました。

しかし実は、日本の伝統文化には、世界が今まさに求めている持続可能な暮らしが深く根付いていたのです。


日本の暮らしに息づく循環の知恵

日本人は昔から、ありとあらゆるものを「使い切る」知恵を持っていました。

陶器:壊れたら金継ぎをして再び使う

和紙:不要になれば漉き返して再生紙に

食べ残しや生ごみ:家畜の餌や畑の肥料に

排泄物:下肥(しもごえ)として農作物の肥料に

 

江戸時代の都市では、さまざまなリサイクルシステムが確立されており、「循環する社会」が当たり前だったのです。

 

着物に宿るサステナブルな精神

そして着物も一度仕立てられて終わりではありません。


縫い目をほどけば反物に戻り、何度でも新しい形へと生まれ変わります。


成人女性の着物を、子ども用や羽織に仕立て直す

長着を半纏(はんてん)や羽織に変える

擦り切れを避けて帯揚げや風呂敷、巾着に

さらに小さくなれば足袋や肌襦袢、おむつに

役目を終えても雑巾や台拭きとして最後まで使う

やがて布は朽ち、土へと還る


ごみはほとんど存在せず、「循環する社会」が当たり前に行われていました。

 

現代によみがえる着物リメイクの価値

洋服の普及で一度途絶えかけたこの文化も、近年再び注目されています。


着物はバッグや洋服、クッションカバーへと姿を変え、現代の暮らしに新たな命を吹き込んでいます。


帯から仕立てるトートバッグやクラッチバッグ

着物をリメイクしたワンピースやスカート

クッションカバーやタペストリーなどのインテリア


それは単なるリサイクルではなく、文化と環境を同時に守るサステナブルファッションです。

 

おばあちゃんの手土産

私自身、この「在るものを大切にする精神」を思い出させてくれる体験があります。

私が結婚したばかりの頃、当時85歳近かった祖母が、『私が住む土地の氏神様に一度ご挨拶がしたい』と、わざわざ私に会いに上京してききてくれました。


そのとき「手ぶらでは行けない」と持ってきてくれたのが、手作りのトートバッグでした。


「お金がない、ない」と口癖のように言っていた祖母が、それでも何か持って行きたい、と、家にあった布でいくつも作って持ってきてくれたのです。

 


当時の私は「そんな気を遣わなくてもいいのに」と軽い気持ちで受け取ってしまったけど、

 

今振り返ると、それはまさに「在るものを大切にし、心を込めて使い続ける」という日本人の精神であり、もったいない、というだけではない、祖母の想いが込められた唯一無二の宝物です。

 

サステナブルは古い日本の精神

現代のファッション産業は大量生産・大量廃棄を前提とし、

ウイグル問題やラナプラザ崩落事故に象徴されるように、低価格競争の裏側で深刻な人権・環境問題を抱えています。

 

その他、地球きぼの様々な問題から『サステナブル』と言う言葉は現代に広まりましたが、その本質は日本文化の中に脈々と受け継がれてきました。

 

まずは身近な一歩から

“良いものを長く”使い、思いを込めて受け継ぐ

不要になったものは捨てずに譲る(メルカリやシェアサービスを活用)

着物リメイクや金継ぎなど、日本文化の知恵を現代に取り入れる

 

こうした小さな積み重ねこそが、地球にも社会にも優しい、持続可能な循環を生み出します。


着物が教えてくれるのは、ただのリサイクルではなく、「人と自然が共に生き続けるための道」 そのものであり、さまざまな問題を解決する一歩になるかもしれないのです。

 


最後までお読みいただきありがとうございます。


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